現場の声で伝わる、“命”の話
旭山動物園くらぶ主催で毎年開催されているイベント「あったかトーク」。
日々、動物と向き合う飼育員さんや獣医師、学芸員が登壇し、展示の裏側や現場で感じていることを、やさしい言葉で伝えるトークイベントです。
今回のテーマは「飼育員さんの心温まる三つのお話」。北海道のリスたちの暮らし、動物たちの健康を支えるトレーニング、そしてボルネオ島での保全活動まで、聞き終えるころには“動物園を見る目”が少し変わる内容となっています。
当日の様子はYouTubeで公開されています。会場に足を運べなかった方も、映像とスライドを通して内容を追体験できます。
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北海道のリスたち——身近で奥深い野生の暮らし
櫻井結夢さん(北海道産動物舎・エゾモモンガ舎担当)からのお話は、エゾリス、エゾモモンガ、エゾシマリス。
名前は知っていても、その暮らしの違いを詳しく知る機会は多くありません。
冬眠をしないエゾリスが、秋に貯えた食べ物を少しずつ掘り起こして冬を越すこと。
保護されてやってくる動物たちの中には、見た目では分からないケガや障害を抱えている場合があること。
現場で見てきたからこそ語れる話が、静かに伝えられました。
健康チェックは“信頼づくり”から
篠原明さん(あざらし館担当・獣医師)から紹介されたのは、動物たちの健康管理を支える「ハズバンダリートレーニング」。
これはショーではなく、検査や処置を安全に行うため、動物に協力してもらうための大切な取り組みです。
ベルの音とご褒美を結びつけ、少しずつ行動を覚えてもらう。
時間はかかりますが、動物と人の双方にとって負担を減らす工夫が、日々積み重ねられています。
動物園を支える「見えない仕組み」と、その先の世界
佐賀真一さん(えぞひぐま館担当・学芸員)からは、旭山動物園くらぶの支援によって実現している「学習目的来園のバス支援事業」が紹介されました。
交通費の高騰により、子どもたちが動物園で学ぶ機会が減ってしまう——。
そうした課題に向き合いながら、地域全体で学びを支える取り組みが続けられています。
後半では、ボルネオ島での保全活動にも触れ、私たちの暮らしと遠い土地の自然がつながっていることを改めて考えさせられる内容となりました。
まとめ|知ることで、動物園はもっと身近になる
「あったかトーク」は、動物の豆知識を増やす場ではありません。
動物の命を守る現場のリアルや、地域と動物園の関係性を、等身大の言葉で知る時間です。
展示を見る前、あるいは見終えたあとに動画を視聴すると、動物たちの姿が少し違って見えてくるかもしれません。
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